
はじめに
放医研が提供していますCT検査における被ばく線量推定webシステム「WAZA-ARIv2」(https://waza-ari.nirs.qst.go.jp/)を使用する際に、管電流変調:AECを用いている場合には特定のスライス位置での管電流の値を画像データから読み取り、入力する必要があります。
しかしながら以下の論文にも述べられている通り、数百枚に及ぶ画像データから目的にスライスを選別し、DICOMタグから管電流の値を読み取るには労力を要します。
WAZA-ARIv2は,CT-AECを用いた胸部~骨盤部撮影時の実効線量推定に,特定スライスの撮影条件が必要である.特定スライスは,撮影開始位置,終了位置のほかに,肺尖1スライス目,気管分岐部,肝門部,腸骨上縁,恥骨上縁の合計5スライスである.管電流取得には,特定スライスの確認を数百枚のCT画像から目視で行い,DigitalImagingandCommu-nicationsinMedicine(DICOM)tagを読み取る必要があり,多大な時間と労力を要する.
江崎 徹, 川嶋 友彰, 深層学習による CT 画像の自動分類と被ばく推定Web システムを併用した実効線量推定作業の効率化, 日本放射線技術学会雑誌, 2020, 76 巻, 11 号, p. 1107-1117
また診断参考レベルとの比較を行うために施設の標準的な線量指標(CTDIvol、DLP)を導いた後の臓器線量や実効線量を求める際にも、この特定のスライス位置での管電流の情報というのは得難く、よく似た体型のサンプルを撮影した際の実データを用いるしかありません。
ファイルの概要
CT装置2機種を用いて、CT撮影用人体ファントムの上肢を挙上させた状態で、胸部~骨盤部まで撮影しました。使用した機器は以下の通りです。
- Aquilion ONE/ViSION Edition(キヤノンメディカルシステムズ株式会社)
- SOMATOM Definition Flash(シーメンスヘルスケア株式会社)
- CT撮影用全身ファントム PBU-60(株式会社京都科学)
この2機種を選んだ理由は、特性が異なるAEC(Image SDタイプとImage CNRタイプ)の代表的なものであると考えたからです。撮影条件等はダウンロードファイル内に示してあります。
各スライス位置での管電流を読み取り、平均値で正規化しプロットしました。その後、2つの曲線の平均を描画し、前後3点での補間により滑らかなカーブを描く「Unknown AEC」のデータを導きました。
使用方法(例)
Microsoftエクセル形式でのデータになります。
セル D3-4「mean mA」の入力が可能で、他のセルは編集不可になっています。

検査終了後に提示される情報から、スキャンの平均管電流の情報を得ます。上記例では(管球回転時間は0.5秒、寝台ピッチが0.8であり)94 ÷ (0.5 / 0.8) = 152 mAがmean mAとなります。Dose Summaryからの導出が難しければ、RDSRから読み取るのも良いかも知れません。

WAZA-ARIv2への入力に必要な画像スライス位置における管電流が自動計算されます。肝臓からのスキャンにも対応できるように、「心室レベル」(スキャン開始位置)の管電流、またスキャン終了位置の目安として「坐骨下縁」の管電流もあわせて自動計算されます。

WAZA-ARIv2の入力画面にて、装置のモデル等を選択し上記数値を入力します。Begin positionにはmeanの値か、あるいは最大値を使用することを推奨します。End positionには坐骨下縁の値を使用しました。

上記データを入力した結果画面になります。WAZA-ARIv2で計算されたCTDIvolの値が6.35mGy、実際のDose Summaryでは6.37mGyでしたので管電流の挙動の再現性に大きな誤りは無いと考えられます。ここの値の相違を確認したうえで、推定された実効線量や臓器線量はインフォームドコンセントに使用することが可能です。
もし平均管電流mean mAの値が調べられない、あるいは施設の標準的なCTDIvolとDLPの値で計算したい場合は、CTDIvolの値がほぼ同値となるように、エクセルシートに入力するmean mAを何度も変化させた計算値で探索的に検証する方法が考えられます。
ダウンロード
(※DropBoxへリンクします)
上記ボタンより遷移するDropBoxのリンク先からダウンロード可能です。ご使用の際にはファイル内の免責事項をお読みください。
